この連載は、AIとクリエイティブの現場をつなぐ対話シリーズ。ちょっと辛口で、でも思わずうなずくA先生と、好奇心が爆発中のX子が、毎回ひとつのニュースを深掘り。笑って「なるほど」となる、“ちょっと先の視点”をあなたに。

プロローグ

X子「先生、今年の夏、暑すぎません?ニュースで“群馬・伊勢崎で41.8℃”“兵庫・丹波で41.2℃”って聞いて、もう“焼け石に水”どころじゃないですよ!」

A先生「そうそう。連日40℃超えで全国的に救急搬送が過去最多。この暑さはもはや“災害級”なんだよ。」

X子「怖い…。でも、暑さって天気次第だから“どうしようもない”と思ってました。」

A先生「いや、ここにAIの出番がある。AIは“暑さを消す”ことはできないけど、“暑さに先回りする”力を持ってるんだ。」

1. 「暑さの見張り番」としてのAI

X子「先回りって、どういうことですか?」

A先生「例えば“暑さ指数(WBGT)”って知ってる?気温だけじゃなく、湿度や日射も加味した“体にかかる負担”の指標。これをAIが地域ごとに12時間先まで予測して、“今日は午後3時に危ないピークが来ます”と教えてくれるんだ。」

X子「えっ、ただ“暑い”って言うんじゃなくて、“いつ危ないか”を教えてくれるんですね!」

A先生「そう。ある研究チームは救急搬送の発生数をAIで自治体単位で予測できるモデルを発表した。気温や湿度だけじゃなく人口や高齢者率まで組み合わせて“熱中症搬送が増える日”を事前に当てられる。」

X子「それって、病院や自治体が“備えられる”ってことですよね。待ち構えるのと不意打ちされるの、全然違う…。」

2. 現場を守る「暑さのセンサーと相棒」

X子「でも、AIが予報しても現場の人は忙しいし、確認し忘れそう。」

A先生「そこで出てきたのがAI+センサーの見守り。建設現場だとLED掲示板に“今の暑さ指数と1時間後の予測”を出して、危ないとパトランプが自動点滅する仕組みがあるんだ。」

X子「おぉ、わかりやすい!まさに“暑さの信号機”ですね。」

A先生「さらに最近はチャットボット連携も。『気温上がってるから水を飲んで』ってLINEやTeamsで作業員に自動メッセージを飛ばす。作業員から“今の現場の暑さ指数は?”って聞いたらAIが答えることもできる。」

X子「いい!“気にかけてもらってる”感じが出ますね。」

A先生「他にも顔色をAIで読み取ってリスクを4段階表示するカメラが工場や学校に入ってる。生徒や作業員がカメラの前に立つだけで、3秒で“危険”と赤ランプを出してくれる。」

X子「自分では“まだ大丈夫”って思っても、AIに“危ないよ”って言われたら、ちょっと休もうかなって思えますよね。」

3. コミュニティを支える「涼のデザイン」

X子「会社や学校だけじゃなくて、地域全体も守ってほしいです。」

A先生「実は自治体も動いてる。過去の熱中症発生データをAIで解析して、“どの地域が危ないか”の地図を作る。そこにミストシャワーを設置したり、冷房バスを走らせたりするんだ。」

X子「海外だと“移動式クーリングバス”とかあるんですよね?」

A先生「そう。アメリカの都市ではAIの“暑さ脆弱性マップ”をもとにバスを派遣して、エアコンのない地区の人を守ってる。日本でも“給水所をどこに置くか”をAIで予測する取り組みが始まってる。」

X子「AIが“どこで水が必要か”を教えてくれるのかぁ。なんか頼もしい。」

A先生「要するに、AIは“暑さの敵”を“段取りの相棒”に変えてくれる。人はAIに任せた分、声かけや気配りに時間を使えるんだ。」

エピローグ

X子「なるほど。AIは冷風機じゃないけど、“未来の暑さ”を先に知らせてくれるクーラーボックスみたいな存在なんですね。」

A先生「いい例えだね。AIが先回りして警告し、人が心を込めて支える。それが“災害級の夏”を乗り越える新しい形だよ。」

X子「…先生、次はどんな景色が見えるんでしょうね。」

X先生「さあ、それは読んでのお楽しみ。もっと驚く話が待っているはずだよ。」

つづく。

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