
この連載は、AIとクリエイティブの現場をつなぐ対話シリーズ。ちょっと辛口で、でもなんだか共感できるA先生と、好奇心が爆発中のX子さんが、毎回ひとつのニュースや出来事を深掘りします。笑って「なるほど」とうなずける、“ちょっと先の視点”をあなたに。
プロローグ
X子「みなさんはじめまして!このコラムでは、私・X子と、見た目ちょっと怖そうだけど話すと優しいA先生が、AIとクリエイティブの話を楽しくやっていきます!」
A先生「“ちょっと怖そう”は余計だよ。」
X子「でも怖そうって言ったほうが、優しさが引き立つじゃないですか。」
A先生「……まあ初回だから許すけどね。じゃ、自己紹介からいこうか。」
X子「はい!じゃあまずA先生からお願いします。」
A先生「広告代理店でコピーライターやって、そのあとデジタル戦略やブランド作りの現場をあちこち経験。今はCreative AXで“AIを味方にするクリエイティブ運用”の指南役だよ。」
X子「肩書きは長いけど、口癖は短いですよね。“速さは、いちばん静かな説得だ”とか。」
A先生「それ座右の銘みたいなもん。で、X子ちゃんは?」
X子「私は元・企画営業、最近AIにハマって毎晩プロンプトを書きまくってます。知識は浅めですが質問力には自信あります!」
A先生「質問力は武器だよ。“分からない”を恥ずかしがらない人は伸びるからね。」
X子「じゃあさっそく、今日のテーマ“熊とAI”に行きましょう!」
A先生「そう、滑走路に熊、タイムラインにGPT-5。予測不能な侵入者から学ぶ、生き残りのコツだ。」
熊もAIも、予測不能の訪問者
X子「熊って、本当に街に来るんですか?」
A先生「来るんだよ。山形空港では、熊が滑走路に出てきて飛行機が止まった。12便も欠航だ。」
X子「え、それもう“ジブリ映画”じゃないですか。」
A先生「現実はもっと大変。去年は全国で200人以上が熊に襲われ、死者も出た。」
X子「こわ…。なんでそんなことに?」
A先生「木の実不足、冬眠のリズムの乱れ、人が減った里山…いろんな要因で熊が餌を求めて街に降りてきてる。」
熊対策は“先回り”が命
X子「じゃあどうやって防ぐんですか?」
A先生「最近はAIが出番。岩手県の花巻市ではAIカメラを川沿いに並べて熊を検知→スマホに通知。」
X子「うわ、まるで防犯カメラの熊専用版!」
A先生「さらに、赤い目を光らせて90デシベルの吠え声を出す“ロボット狼”もある。」
X子「…それ夜に見たら人間も逃げますよ。」
A先生「要するに“出てから騒ぐ”より“出そうな場所を見張る”ほうが安全ってこと。」
AIも“突然現れる熊”?
X子「で、これがどうAIの話になるんです?」
A先生「熊が街に来るように、AIも気づいたらクリエイティブの現場に現れてる。最近のGPT-5なんて、数分で動くアプリを作れる。」
X子「え、それ人間の仕事…。」
A先生「そう。驚きと同時に、仕事の役割が変わる危機感もある。でも熊対策と同じで、先回りして役割を決めれば共存できる。」
熊から学ぶクリエイティブ3原則
① 距離のデザイン
近づきすぎない仕組みを作る。AIも「何を任せるか」を決めて使う。
② 先読みの見張り台
トレンドや反応をAIに監視させ、人は意味づけに集中する。
③ 音で合図する
組織の合図(会議の進め方など)を固定化。AIが記録と要約を担当。
人間にしかできない3つの価値
A先生「AIは整合性が大好き。でもブランドには“矛盾”が色気になることもある。」
X子「たとえば?」
A先生「『革新×安心』みたいな逆の価値を同居させること。AIは嫌うけど、人は配置できる。」
- 比喩の精度:生活の記憶からくる言葉選び。
- 矛盾の配置:相反する価値を同居させる。
- 規律の発明:ブランドに合ったルールを作り、鍛える。
エピローグ
X子「熊の話からAIの仕事術になるとは…。」
A先生「予測不能は事件じゃなく前提。先回りと意味づけが武器だよ。」
X子「でも先生、AIってどんどん賢くなりますよね。」
A先生「そうだね。でもAIには、熱く語って相手を動かす“熱量”はない。まだない未来を色で描く“夢の力”もない。季節や沈黙の美しさを味わう“わびさび”もない。」
X子「じゃあ、人間は何をすればいいんですか?」
A先生「——その答えは、次回話そう。ヒントは、“夢を描く力”が一番発揮されるのは、予測不能な瞬間なんだ。」
つづく。