
この連載は、AIとクリエイティブの現場をつなぐ対話シリーズ。ちょっと辛口で、でも思わずうなずくA先生と、好奇心が爆発中のX子が、毎回ひとつのニュースを深掘り。笑って「なるほど」となる、“ちょっと先の視点”をあなたに。
プロローグ
X子「今日は私の持ち込みです!テーマは“賃貸か、持ち家か”! よくある話題こそ、AIで判断材料を整えると景色が変わるはず…ですよね!?」
A先生「いい視点だね。感情や思い出は大切。でもまずは数字で足場を固めてから心で決める。その順番を意識しよう。」
1|まず“相場の地図”をつくる——勘ではなく、基準値から
X子「最初の一歩、ここを間違えると迷子になりますよね…! 何から始めれば?」
A先生「地図づくりから。AI査定で“この属性ならこの価格帯”という現実のレンジを押さえる。同条件の賃料データも並べて、価格÷家賃=ざっくり回収年数を出す。30年を大きく超えるなら“買いの妙味”は薄い、ひとまずの指標だね。」
X子「なるほど! 数字に落とすだけで“勢い買い・勢い引っ越し”がスッと静まります!」
A先生「そう。最初の一歩は『相場観を持つ』こと。そこから先がようやく“あなたの事情”の出番だ。」
2|AIで“もしも”を試す——価格・家計・街の未来
X子「AIはどこまでやってくれます? 気になります!」
A先生「三つの柱で考えよう。価格・家計・環境だ。」
X子「お願いします!」
A先生「① 価格:過去の売買と物件属性から、AI査定が今の適正価格を推定してくれる。海外のZillow『Zestimate』や国内大手の自動査定は、“相場の空気”を可視化するのに有効(あくまで参考値だけど)。」
X子「“値付けの孤独”が軽くなる…これ、大きいです!」
A先生「② 家計:収入・貯蓄・教育費などを入れて、住宅ローン vs 家賃の総支出をシミュレーション。固定/変動、繰上げ返済、金利+1%の感度まで。“今買う vs 2年待つ”の差額が数値で出る。」
X子「『今しかない!』に冷静な根拠を添えられる…! 見える化、強い!」
A先生「③ 環境:再開発・交通計画・人口動態・保育園の充足・ハザード情報など、バラけたオープンデータをAIが整理して“10年後の暮らしやすさ”を示す。『静か→商業化で賑やかに』『水害リスクは微増』みたいに未来の表情が見えてくる。」
X子「“立地は未来を買う”ですね! AIで未来の下見ができるのは頼もしすぎます!」
A先生「それからレコメンド。動線や嗜好を学んだAIが、見落としていた候補を提案してくれる。賃貸なら更新や転勤のタイミングで次の最適解も出してくれるよ。」
X子「探す時間は短く、比較の質は高く…! 実務がスッキリします!」
A先生「ただし“参考値は参考値。現地の光や匂い、階下の生活音、管理の丁寧さ——AIが拾いにくい要素は現地で確かめるのが基本だ。」
X子「了解です! 読者のみなさん向けに実務メモ置いておきます!」
- 購入検討のひと言プロンプト「年収◯◯万/手取り◯◯、子ども◯人予定、頭金◯◯万。固定・変動の比較、10・20・35年総支出、繰上げ返済3パターンで“今買う vs 2年待つ”の差を算出して」
- 賃貸継続のひと言プロンプト「現家賃◯◯円、更新料あり、転勤確率△%。10年の総支出と購入時の維持費・税・保険込み総額を比較。メリット/リスクを箇条書きで」
3|それでもAIは“補助輪”——心の利回りは人にしか評価できない
X子「ここまで聞くと、“AIに全部任せちゃえば!?”って気持ち、ちょっと出てきます…!」
A先生「そこで注意。AIは平均的には賢いけれど、あなた固有の事情や価値観——たとえば『親の近居で育児負担が激減』や『推しの会場が近いと幸福度が上がる』——はモデル化しにくい。“心の利回り”は人にしか測れない。」
X子「刺さります…! 賃貸の自由は“変われる権利”、持ち家の安心は“帰れる場所”。どっちを重く見るかは人それぞれ、ですよね!?」
A先生「その通り。加えてAIは時に堂々と間違う。査定は概算、予測は外れることもある。だから最後は人が責任を持って判断しよう。おすすめは『AIで可視化 → 家族で対話 → 小さく試す』。」
X子「“小さく試す”、大賛成です! 買う前にその街で1年賃貸トライとか、賃貸派でも小口の不動産投資で学ぶとか。実験で失敗コストを下げる…これ、やります!」
エピローグ
X子「今日のまとめ、いきます! AIは電卓であり羅針盤。でもどの星を目指すかは私たち! 数字は航路を描き、暮らしの舵は心で切る。」
A先生「うん。家は“資産”であると同時に“日常の器”。人の感性や生活リズム、わびさびが宿って初めて“住まい”になる。AIはその判断を賢く支える相棒、最後の一押しは人の温度だ。」
X子「次回も“数字と生活のあいだ”を丁寧につなぎます! お楽しみに!」
A先生「また驚きと納得を、ひとつ。」
つづく。